地衣類とは、藻類と共生して「地衣体」と呼ばれる構造体を作っている子嚢菌や担子菌を指します。地衣類は、熱帯から極域にかけての海岸から高山まで分布しており、地球の全陸地の約6~8%を被っていると見積もられています。土や岩石、樹皮、あるいはコンクリートや屋根瓦といった人工構造物など、様々な基物に着生し、生葉上に地衣類が生育することもあります。世界で約2万種 (Lücking et al. 2016) 、日本では約1800種 (Ohmura & Kashiwadani 2018) が知られています。共生している藻類は、地衣類全体の約85%が緑藻、約10%がシアノバクテリア、約5%には両者が含まれています。
地衣類研究会では、地衣類、共生藻、地衣生菌の分類、生態、培養、共生現象、遺伝子解析、アートなど、アマチュアから研究者まで幅広く地衣類の魅力について会員間で情報交換を行っています。地衣類に関する話題は会報「ライケン」をご参照下さい。
会報「ライケン」話題紹介 これまでに発行されたライケンには、地衣学に関する興味深い記事が満載です。 ライケンは年2回発行され会員の方へ郵送されます。本会に興味を持たれた方は入会案内をご覧下さい。 |
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調査・観察・標本 | |
大村嘉人・樋口満理.「携帯電話で地衣類撮影」.ライケン15(1) 大村嘉人ほか.「標本作製法-長期旅行編」.ライケン11(1) 大村嘉人.「地衣類観察におけるルーペについて」.ライケン13(1) 柏谷博之.「地衣類研究の手引き(1)」.ライケン8(4) 黒川逍.「地衣類の採集と標本の作り方(I)」.ライケン3(2) 黒川逍.「地衣類の採集と標本の作り方(II)」.ライケン4(3) |
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培養方法 | |
板東誠・杉野守.「グロースキャビネット内でポリエチレン袋を用いた地衣の栽培法」.ライケン10(2) 山本好和.「地衣類の組織培養」.ライケン6(2) |
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地衣成分 | |
木下靖浩.「培養地衣菌における成分生産」.ライケン10(1). 柴田承二.「地衣成分研究の回顧」.ライケン9(4) & 10(1). |
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生 態 | |
渡辺 篤.「地衣類による森林土壌の窒素地力の増強」.ライケン4(1) | |
共生藻 | |
竹下俊治.「共生藻と地衣類学」.ライケン11(3). 中野武登「共生藻類の分離・培養法」.ライケン6(3). |
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教 材 | |
高萩敏和.「地衣類の教材化(1) ウメノキゴケでリトマス試験紙を作る」.ライケン10(3). | |
地衣類の利用 | |
○ 環境指標 ・中川吉弘.「環境指標としての地衣類」.ライケン10(2). ○ 地衣染め ・寺村祐子.「地衣類染色法」.ライケン5(1). ○ 食用地衣類 ・大村嘉人.「食べられる地衣類は?」.ライケン13(3). ・黒川逍.「雪茶に関する追記」.ライケン10(1). ・樋口正信.「中国でカブトゴケモドキを食べる」.ライケン10(2). ・吉田考造.「バンダイキノリは食べられている」.ライケン6(2). ○ 地衣類を利用した薬 ・吉村庸.「地衣製剤ウスノ」.ライケン1(2, 3). ○ 装飾用の地衣類 ・吉村庸.「装飾用のミヤマハナゴケ」.ライケン1(2). |
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その他 | |
○地衣類の手話表現 ・廣瀬彩奈・大村嘉人・土肥輝美「地衣類の手話表現」.17(2) ○ 地衣類の名前について ・大村嘉人.「ユオウゴケの和名について」.ライケン13(2): 8-9 ○ 地衣類と他の生物との関わり ・矢野幸夫.「地衣を食う毛虫」.ライケン7(1) |
- おすすめの地衣類書籍
・原色日本地衣植物図鑑(吉村庸著、1974年、保育社)(古書で入手可)。
・地衣類のふしぎ(柏谷博之著、2009年、SB Creative)
・街なかの地衣類ハンドブック(大村嘉人著、2016年、文一総合出版)
・里山の地衣類ハンドブック(柏谷博之・大村嘉人・文光喜著、2020年、文一総合出版)
・Lichens. Purvis, W. 2000. 豊富な美しい写真と分かりやすい解説で書かれた地衣類教養書(英語)。
・Lichens of North America. Brodo, I. M. et al. 2001. 綺麗な写真がたくさん載った北米地衣図鑑(英語)。
など - 地衣類文献の検索
Recent Literature on Lichens: 世界中の地衣類に関する文献がオンラインで検索できる。 - メーリングリスト
Lichens-L: 国際地衣学会 (IAL) のSmith博士によって運営されている地衣類メーリングリスト(英語)。